働き方改革を実現する、AIテクノロジーを取り込んだ大手2社の戦略的協業

カテゴリ:コスト削減や効率化導入事例業種/職種別利用シーン


2018年6月29日、日本政府がかねてより取り組んできた「働き方改革」に関する関連法案が成立しました。この関連法案には、時間外労働の制限が含まれています。こうした労働規制のもとでは、業務時間の削減と品質維持を同時に実現しなければなりません。本記事では、こうした新しい働き方をAIやロボットによって実現しようとする事例を紹介します。

「Microsoft 365」と連携する「Zinrai」

国内大手メーカーの富士通は、2017年12月22日、働き方改革をAIを活用して支援することを目的としてMicrosoftとの協業を発表しました。

この協業は、富士通が開発してきたAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」(略称は「Zinrai」)とMicrosoftが展開するクラウドサービス「Microsoft 365」を統合することによって、業務の品質を落とさずに労働時間の短縮といった働き方改革で謳われてる課題を解決することを目標としています。

AIを活用した業務の最適化

以上のような協業は、具体的には以下のような施策を実現することを目指しています。

 

・Microsort 365の機能「Workplace Analytics」によってメールやカレンダーの情報を集約して、その集約された情報をZinraiが分析。この分析結果からタスクの重要度を算出して、業務時間のスマートな活用を実現する。

 

・MicrosoftのAIプラットフォームサービス「Microsoft Cognitive Services」や「Microsoft Azure Bot Service」と、富士通の対話型AIと自然言語処理技術を組みわせることで、ルーティンワークを自動化する。例えば、ミーティングのスケジュール調整にはAIチャットボットを活用し、手間のかかっていたヒトとの調整作業を削減する。

 

・企業内に散在している情報と人材のつながりを可視化するナレッジグラフを作成する。このナレッジグラフを活用すれば、新規プロジェクトの立ち上げ時にプロジェクト遂行に必要な人材と情報を迅速に集められるようになる。

 

・Microsoftの「MyAnalytics」や「Workplace Analytics」を用いて可視化した社員の働き方に関する情報を、富士通が開発したグラフ構造を活用した機械学習技術「Deep Tensor」を使って分析する。この分析結果から生産性の高い社員やチームを特定でき、さらに生産性が高い原因も解明できる。こうした知見を働き方改革に生かす。

 

富士通のCTOである香川進吾氏は、以上のような施策を推進することで同社の「Human Centric AI(人間中心のAI)」というコンセプトを実現したい、とコメントしています。

各社で導入が進むRPA

テクノロジーによって働き方改革を推進するうえで、AIともに注目されているのがRPA(Robotic Process Automation)です。

RPAとは直訳すれば「ロボットによるプロセスの自動化」となりますが、要するにロボットによって業務を自動化する技術を意味しています。ロボットとは言っても、自動車工場で稼働している産業用ロボットではなく、その実体はデスクワークを実行する自動化されたソフトウェアです。

 

こうしたRPAの事例には、日本生命保険が導入した「日生ロボ美ちゃん」があります。ロボ美ちゃんの業務は、請求書データの入力です。10ケタ近くある証券記号番号の入力などを人手に頼らずに、ロボ美ちゃんだけで実行します。ロボ美ちゃんの働きは高く評価された結果、増員が決定して今では6台稼働しています。その働きぶりは「6台で20人分の働き」とまで言われています。

運送会社の西濃運輸もバックオフィス業務にRPAを導入したところ、導入前までは人手で20分かけていた集計作業が20秒で実行できるようになりました。

そのほかのRPAの事例には、住友林業もあります。同社では人手によるExcelを使った作業に膨大な時間が費やされていることを問題としてとらえ、RPAによる自動化を試みました。この試みによって、月間で160時間の人手による業務を削減できました。

 

AIやロボットの進化によってヒトの仕事が奪われるのではないかという懸念が根強くありますが、以上のような事例を見る限りでは、AIやRPAを有効活用するとヒトは煩わしい労働から解放されることが分かります。AIとロボットは、正しく付き合えばヒトの良きパートナーとなるのです。

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