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心の病や不調を察知するAI

カテゴリ:コスト削減や効率化


ヒトの心の不調や病を診断したり、感情を読み取ることはヒトにとっても難しいことです。現在、こうした「ヒトの心を理解する」ことをAIで実行する開発や研究が盛んに行われています。本記事では、こうした心を理解するAIの事例を紹介します。

AIで自殺を予防するFacebookの取り組み

SNS大手のFacebookは、2017年12月1日、AIを利用した自殺予防に関する取り組みを公式ブログで発表しました。
 
同社は、アメリカ国内におけるFacebookへの投稿を対象として、AIが実行するパターン認識技術を活用して、自殺願望が表れていると思われる投稿を特定することを実行しました。具体的には、投稿のコメント欄に「大丈夫ですか?」や「何かお役に立てますか?」といったメッセージがある投稿は、自殺願望が表れている可能性が高く、こうしたメッセージをAIが検出できるようにしたのです。もちろん、こうしたメッセージを機械的に検出するだけではなく、専任のヒトのスタッフがさらに自殺願望が表れていると疑われる投稿の文脈を分析して、分析した投稿に緊急度を付けていきました。
 
緊急度が高い投稿を行ったユーザについては、警察や救急隊といった初動対応者に通報し、自殺を抑止しました。こうした取り組みを1ヶ月行ったところ、100件以上の自殺願望が表れている投稿を特定しました。

以上のような取り組みを、同社はアメリカだけではなく世界に広げることを計画しています。ちなみに、日本では同社は一般社団法人日本いのちの電話連盟と特定非営利活動法人国際ビフレンダーズ東京自殺防止センターと協力体制を築いています。

AIによって精神疾患の発症を予測する研究

アメリカのマウントサイナイ病院では、IBMワトソン研究センター等と協力して、うつ病をはじめとする精神疾患の発症を予測する「AI言語解析システム」を開発しています。

同システムが精神疾患を予測する仕組みは、同システムの被験者が使う言葉が一般的な文脈から逸脱していたり、文章の複雑さが同年齢層に比べて著しく低いといった精神疾患の兆候と考えられる「無秩序な思考」をAIによって検出する、というものです。

研究チームは、以上のようなシステムを逸脱行動が目立つ青少年93人のインタビュー内容の分析に使いました。その結果、2年以内に何らかの精神病を発症する青少年を83%の確率で予測しました。さらに、健康なヒトと精神を病んだヒトを区別する実験を同システムで実行したところ、72%の精度で区別できました。

感情を読み取る「エモリーダー」

オンラインカウンセリングサービス「ココロワークス」を提供するHIKARI Labは、2017年10月7日、カウンセリングに株式会社エモスタが開発した感情認識AI「エモリーダー」を試験導入することを発表しました。
 
カウンセリングにおいて、相手の感情を読み取ることは非常に重要なことなのですが、同時に高いカウンセリング・スキルが要求されます。HIKARI Labはエモリーダーを導入することによって、AIがカウンセラーをサポートする体制を構築することを目指したのです。

エモリーダーは、アメリカの心理学者ポール・エクマンが提唱した7つの基本感情(喜び、悲しみ、驚き、怒り、軽蔑、嫌悪、恐れ+無表情)を、カウンセリング相手の顔を撮影したカメラ画像から検出します。こうして検出した基本感情をグラフ等で可視化して、カウンセラーに伝えるのです。
 
感情認識AIはエモリーダーのほかにも多数ありますが、同AIのユニークなところは心理学的アイデアにもとづいて開発されたところです。多くの感情認識AIは、心拍数や体温の上昇といった生理学的アイデアから着想されています。しかし、心拍数や体温の変化から感情を読み取るのは、こうした生理学的変化に加えて被験者の置かれている状況にも大きく左右されるという難しさがあったのです。対してエモリーダーは心理学的アイデアを活用することで、高い精度の感情認識に成功したのでした。

 

以上のように、AIはヒトの心の不調や病、さらには感情を正確に理解する能力を高めつつあるのです。こうした「ヒトの心を理解するAI」が適切に進化すれば、ヒトとAIが共存する未来が実現することでしょう。

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