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知らなかった単語を推測し暗黙的確認で学習するAIを開発した好事例

カテゴリ:導入事例


自然言語処理技術の進化により、AIとヒトの会話が以前より違和感のないものとなって来ています。最近では、未知の単語の意味を察したり、ユーザとの会話のなかからユーザの特徴を推定したりといった従来よりさらに知的に振舞うAIが現れています。本記事では、そんな「知的な」AIを活用した会話システムを紹介します。

知らない言葉の意味を「察する」AI

大阪大学産業科学研究所の駒谷和範教授が率いる研究グループは、2017年8月、AI対話システムにおいて未知な言葉の意味を推定する手法を発表しました。
 
AIチャットボットに代表される現在主流のAI会話システムでは、会話の内容や流れがある程度事前に設定されており、こうした設定をシナリオと呼んだりします。このシナリオは、AIがヒトと会話する際のプロトタイプ(ひな形)として機能する言わば脚本のようなものです。
 
優れたAI会話システムは、様々な会話に対応できるようにシナリオが用意されています。こうした一方で、AIはシナリオが想定していないような未知の単語に対するリアクションを苦手としています。だからといって、想定外の単語に対する例外処理として、「xxとは何ですか」「意味がわかりません」とばかり答えるAIでは、ユーザは話す気がなくなるでしょう。

同教授が発表した手法は、以上のような未知の単語に対して「暗黙的確認」を行うというものです。暗黙的確認とは、文字通りユーザに気づかれないようにAIが意味を推定し確認する処理のことを意味しています。この処理では、以下のふたつの手順が実行されます。

 

1.未知の単語が現れた場合、AIは直接ユーザに意味を尋ねたりせず、意味を推定したうえで会話を継続し、ユーザの反応を踏まえて推定の正誤を判定する。

2.意味が推定された単語は、さらに複数のユーザとの会話を通じて正誤判定の精度を上げていく

 

以上のような暗黙的確認は、ヒトどうしの会話で見られる「意味を察して話を合わせる」ことと近いコミュニケーションが再現されていると言えるでしょう。

会話のなかから病気を推定する「GYANT」

カラダに不調を感じたユーザと会話することで、ユーザの病気を推定するチャットボットも存在します。それが「GYANT」です。

同チャットボットは、現在、Facebook MessangerとAmazon Echoから利用可能なのですが、カラダの不調を感じたユーザが同チャットボットの質問にチャット形式で答えていくと、可能性のある病気を教えてくれる、というもの。言ってみれば、医師の問診をチャットボットで代替しているのです。
 
もっとも、同チャットボットの問診が完全に正しいというわけではなく、当然ながら処方箋を処方してくれるわけでもありません。しかし、ユーザが近くに病院のない過疎地や発展途上国に住んでいる場合、あるいは深夜に体調を崩したような場合には同チャットボットの診断を参考にして初動処置を行うのは非常に有意義でしょう。

ユーザとのチャットからパーソナライズする「TrueTALK」

Jetrunテクノロジ株式会社が提供するAIチャットボット「TrueTALK」は、ユーザとAIの会話のなかからユーザの嗜好を推定するパーソナライズ機能を実装しています。

同機能は、自然言語処理技術を活用してユーザの発言の特徴を数値化して蓄積します。この数値化された特徴をもとにしてユーザの嗜好を推定した後、ユーザが気に入るような商品やサービスを提案するのです。
 
同機能は、ユーザの嗜好とは異なるものをすすめることがあります。あえて嗜好とは異なるものをすすめることで、ユーザの新たな「気づき」を促すのです。

同チャットボットにはパーソナライズ機能のほかにも、AIとヒトの会話がかみ合わない主な原因である「同音異義語の誤認識」を回避する機能も実装されています。この機能によって、同音異義語を会話の文脈に応じて正しく解釈できるようになりました。

 

以上に紹介したAI会話システムは、ユーザの発言からキーワードを拾ってリアクションするというような単純な処理に留まらず、会話の文脈から何らかの情報を推定するという点が共通しています。こうした共通点から、AIは「察知」や「推理」といったヒトの高次な知的活動を模倣する段階に来ている、と言えるかも知れません。

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