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近年注目を集めるAI×スピーカーの今
音声操作に対応しているAIスピーカーは、チャットボットと親和性が高いと言えます。本記事では、AIスピーカーの現状を確認したうえで、AIスピーカーを活用したチャットボット・サービスの事例を見ていきます。
AIスピーカー市場の現状と成長予測
2018年3月8日、株式会社ジャストシステムはAIスピーカー市場の認知度に関する調査を含んだレポート「人工知能(AI)&ロボット月次定点調査 2017年総集編」を発表しました。同レポートによると、2017年6月時点ではAIスピーカーの認知率は43.5%だっだのに対し、
2017年12月時点では70.9%と急激に上昇しており、短期間で一般消費者に認知されたことがわかりました。
また2017年8月、アメリカ・シカゴに拠点をおく調査会社Ariztonが同市場の成長予測を発表しました。その発表によると、2016年における同市場の規模は約9億9,000万ドル(約1,030億円)でした。
その後、2019年には26億ドル(約2,700億円)となり、2022年には48億ドル(約5.000億円)に成長と予測しました。この成長予測では、年平均成長率は30.45%となります。
AIスピーカーが注目される理由
AIスピーカーが注目される理由を理解するには、ユーザインタフェースの進化を振り返ると分かります。ユーザインタフェースとは、ヒトであるユーザとコンピュータのあいだでおこる情報のやり取りの仕方のことを意味します。
近年のユーザインタフェースにおけるイノベーションは、スマホの誕生です。
スマホはそれ以前のモバイル機器が物理的なボタンを押して操作していたのに対して、タッチスクリーンをタップするという直観的な操作を実現したことでユーザのこころをつかみ、現在のように普及しました。
AIスピーカーの登場は、AIに対して音声で入力するというスマホよりさらに直観的な操作を実現します。こうしたユーザインタフェースの進化からは、デジタル機器をより自然に操作できるようになるという方向性が見てとれます。それゆえ、AIスピーカーは発明されるべくして生まれたプロダクトだと言えるのです。
AIスピーカーを活用したチャットボット・サービス
以上のようなAIスピーカーは、ちょうどスマホが多数のアプリを実行するように多数の機能を実行させることができます。こうした機能にはアラームをセットするといったものがありますが、特筆すべきはチャットボット機能です。
チャットボット自体は現在でも主としてスマホから利用できますが、AIスピーカーを介して同機能を使うと、ハンズフリーで文字通り音声だけで操作できるようになります。つまりAIスピーカーを使えば、「より自然に」チャットボットと話せるのです。
以下に現在リリースされているAIスピーカーを使ったチャットボットサービスを紹介します。
TackQA
エクスウェア株式会社は、2017年12月18日、同社が開発したAIチャットボット「TalkQA」をAIスピーカーに連携させるサービスを2018年1月11日より開始すると発表しました。
IBMワトソンを活用して自然言語理解を実現した同チャットボットは、すでにLINEやヒト型ロボットPepperに実装することが可能でした。Google HomeといったAIスピーカーに実装可能となることによって、例えば店舗やショールームに設置したAIスピーカーから訪問客の問い合わせにチャットボットで対応する、というようなことができるようになります。
BOTBIRD FOR BUSINESS
株式会社メタバースが開発・提供するチャットボット・AIスマートスピーカー開発運用ツール「BOTBIRD FOR BUSINESS」は、2018年1月31日からAIスピーカーへの実装に対応しました。
同ツールの最大の特徴は、完成したプロダクトではなくチャットボットの開発環境である、ということです。同ツールを導入した企業は、チャットボット機能を使えるようになるのはもちろんのこと、チャットボットが実行する会話のチューニングといった機能の改善・拡張も可能となります。
しかも、同ツールの使用にはコーディングは必要なく、画面に表示された選択肢の決定等で操作していきます。
以上のように従来ではスマホの画面を操作して実行していた仕事が、今後はAIスピーカーに実装されたチャットボットで代替される可能性があります。この「画面から音声へ」という変化は、今後さらに進むでしょう。