AIを活用した需要予測の事例

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今日AIが企業活動に導入されるようになった背景には、AIを使って何らかの事象に関する予測モデルを構築することが安価にできるようになったことが指摘できます。こうしたAIを活用した予測モデルには多種多様なものがありますが、本記事ではAIによる需要予測の事例を紹介します。

宅配ピザの需要を予測して人員配置を最適化する

AIスタートアップの株式会社GAUSSは、2018年3月13日、宅配ピザ大手のピザハットと共同して宅配ピザの需要予測を実行するAIの開発を開始すると発表しました。

 

ピザハットの一部の店舗では、顧客の待ち時間の増加に伴う機会損失が問題となっていました。この問題を解決するためには、ピザの需要予測にもとづいた宅配スタッフの配置最適化が求められます。

 

GAUSSは、ピザハットが全国で展開する約730店舗の販売および稼働状況に関するデータを学習データとして利用して、ピザの需要予測と機会損失の可視化を可能とするAIの開発を目指しています。

 

GAUSSは、以上のようなピザの需要予測AIを開発した後には、開発したAIを飲食業や小売業における需要予測にも利用可能なAPIに改良して、公開することも計画しています。

 

ちなみに、GAUSSは電力小売事業者が蓄積している電力需要データと天候等の環境データをAIに分析させて、電力の需要を予測するAIシステムや、公営競技場のトータリゼーターシステムを開発する日本ベンダーネットと共同して競輪のレース結果を予測するWebサービスも開発した実績があります。

AIを活用してタクシーの需要を予測する

株式会社NTTドコモは、2018年2月14日、タクシーの需要予測をタクシー事業者に提供するサービス「AIタクシー」の提供を開始しました。

同サービスは、タクシーの営業区域(法令で定められているタクシーを営業できる区域)500m四方ごとのタクシー乗車台数、乗車獲得確率の高い100m四方のエリア、乗車獲得確率の高い進行方向、通常より人口が多くなっている500m四方のエリアといった情報を30分先まで予測して提供します。

 

同サービスにはNTTグループが開発したAI「corevo®」が活用されており、このAIの学習データには気象情報や施設等の地理情報に加えて、NTTドコモが管理している携帯電話網を使って各種統計情報を推計するシステム「モバイル空間統計」が生かされています。

 

同サービスを利用することで期待される効果としては、需要予測にもとづいてタクシーを走行させることによってタクシー利用者の待ち時間を短縮したり、新人ドライバーが運転するタクシーの実車率(利用客を乗せて走行した距離を走行した距離で割った値でタクシーの運用効率を測る指標となる)を底上げすること等が挙げられます。

 

同サービスが提供するようなエリアごとの交通情報は、近い将来に実用化されると考えられる自律自動車の運用にも活用できることでしょう。

ビールの需要を予測する

大手ビールメーカーのアサヒビールは、ビールの需要をAIを使って予測することで鮮度の高いビールを顧客に提供しています。

 

同社では、以前はヒトによってビールの需要を予測していました。しかし、こうした需要予測には莫大な商品知識と熟練した予想術が不可欠なため、需要予測ができる人材の育成に多大な時間がかかるという問題がありました。

 

以上の問題を解決するために、同社は蓄積している各種商品情報を学習データとしてAIでビールの需要予測を行うシステムを構築しました。活用されているデータには出荷情報、気象情報、さらには競合他社の動向に関する情報が使われています。

 

こうして構築された需要予測システムは、予測値と実績値の誤差が平均して10%程度のものとなりました。この結果は、ヒトによる予測の精度の平均値を上回るものでした。もっとも、ヒトによる予測の精度は振れ幅が大きく、場合によってはAIを凌駕することもありました。それゆえ、同社ではAIとヒトの互いの長所を生かすために、予測チームの一員にAIを加え、ヒトとAIの混成予測チームを結成したのでした。

 

多種多様かつ大量なデータを活用して、何らかの数値を予測するという処理はAIがもっとも得意とするものです。AIを導入して企業の業績を伸ばすためには、アサヒビールの事例のように、ヒトよりAIが優れたところを生かしつつ、ヒトとAIが共同して働ける体制を築くことが求められることでしょう。

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