Botが政治を動かす?!

カテゴリ:業種/職種別利用シーン


Twitterのユーザのなかには、ヒトではなく自動プログラムがツイートする「ボット」が多数存在します。こうしたボットはプロモーション活動のような商業目的で使われることが多いのですが、時として政治目的に使われることで社会問題にも発展しています。本記事では、こうしたボットと政治の関わりについて解説します。

ボットと親密なトランプ大統領

アメリカのトランプ大統領は、アメリカ政治史上もっともTwitterを利用している大統領と言っても過言ではないでしょうか。Twitterを愛用しているということは、時に無責任なツイートを拡散するボットの挙動に同大統領が振り回されることをあります。
 
同大統領がボットに反応してしまった事例として、2017年8月の事件が知られています。Twitterアカウント名「Nicoke Mincey」なるユーザがトランプ大統領はアメリカのために奮闘しているとのツイートをしたので、気を良くした同大統領はお礼のツイートをしました。しかし、後になってこのユーザはボットがあることが発覚しました。
 
以上のような事例は他愛のない部類ではありますが、同大統領が勝利した先のアメリカ大統領選挙では、ボットが政治的にフル活用されました。南カリフォルニア大学の研究チームは、先のアメリカ大統領選挙期間中のツイート2,000万件を分析したところ、ボットアカウントは全体の15%を占め、トランプ大統領に関するボットのツイートは同氏を支持する内容だったのに対し、民主党大統領候補であったクリントン氏のそれは批判的な内容でした。研究チームは、こうしたボットの実態は民主主義を脅かしかねないと警告しています。

ボットを見破る「Botcheck.me」

世論を歪めてしまうかも知れないボットの脅威に対して、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校の学生が立ち上げたプロジェクトチーム「RoBhat Labs」は、2017年3月、Twitterアカウントがボットかどうか判定するGoogle Chrome向け拡張機能「Botcheck.me」を開発し発表しました。

同機能をChromeにインストールしてTwitterを閲覧すると、各ユーザのプロフィールの横に「Botcheck.me」というボタンが追加表示されます。このボタンを押下すると、アカウントがボットか否かの判定結果が表示されます。
 
同機能がボットか否かを判定する際には、ボットの挙動について学習したAIが駆動します。このAIを学習する際に大いに役立ったボットの特徴とは、「ボットのフォロワーもまたボット」というものでした。ボットのこうした特徴を利用してボット判定の精度を上げた結果、93.5%の精度で判定できるようになりました。

フェイクニュースを拡散するのはボットにあらず?

ボットによる弊害ということですぐに思いつくのが、ボットによるフェイクニュースの拡散です。アメリカ・マサチューセッツ州工科大学の研究チームは、2018年3月9日、フェイクニュースの拡散に関する研究結果を発表しました。発表された内容は、ボットに関する先入観を覆す衝撃的なものでした。
 
同研究チームは、2006~2017年における複数のファクトチェックツールを使って真偽を確かめたツイート12万6,000件を対象にして、真実のニュースと虚偽のニュースがどのように拡散するか調査しました。調査では、ボットのツイートと推測されるものは事前に排除しました。こうした調査の結果、以下のことが分かりました。

 

・真実のニュースは1,000人のユーザに届くことはめったにないのに対して、虚偽のニュースのうち拡散度合いの高さが上位1%のものは、1,000~1,500万人ものユーザが閲覧していた。

・真実のニュースが1,500人に閲覧されるまでには、虚偽のニュースの6倍の時間を要する。

・政治に関する虚偽のニュースがもっとも拡散度合いが高い。

 

以上の結果から言えることは、フェイクニュースを拡散しているのはボットだけではなく、ヒト自身も加担していた、ということです。

こうした衝撃的な結論をうけて、同研究チームは「なぜ大手SNS企業はフェイクニュースを野放しにしているのか」という疑問にも答えています。拡散度合いが高いフェイクニュースは、短期的にはSNS企業に広告収入をもたらすのです。それゆえ、フェイクニュースを即座に撲滅するような施策はなかなか実行されない、というのが現状のようです。

 

以上のようにボットは、時として社会に悪影響を与えます。しかし、すべてのボットが悪いわけではありません。ほかのテクノロジーと同様に、ボットも「正しい使い方」をユーザ主体で制定していって、弊害を取り除いていくのが理想なのでしょう。

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