オムニチャネル戦略における店舗とECの関係について解説します

カテゴリ:オンラインとオフラインを統合


かねてよりEC部門に力を入れるリテール企業は多いですが、オムニチャネルを実現した状態においては店舗とECに優劣はありません。シームレスなサービス提供をするためにそれぞれ重要な役割をもっているからです。

本稿では店舗とECのあるべき関係について、昨今の顧客行動の変化から販売現場の変えるべき意識について解説します。

オムニチャネル時代の顧客の購買行動

高性能なスマホやIoTの普及により顧客の購買行動は大きく変化しました。

日用品や目にとまった商品をその場で購入するケースはともかく、検討が必要な買い物については入念な下調べを伴うようになったからです。

そこで新しい掃除機を検討する人を例にしてみます。

掃除機を検討している人が最初に行うのは検索エンジンで目当ての掃除機メーカーのHPにアクセスしてスペックを調べたり、YouTubeでレビュー動画を探したり、口コミサイトをチェックすることでしょう。

購入前リサーチの画像

そして目星をつけてから売り場に足を運び、現物を確認したりフロアの店員から直接から話を聞いてようやく購入に至るか、あるいは店舗で購入に至らなくても自宅からネットで購入するというケースもありえます。

また実店舗で良さそうな掃除機を見つけた場合も購入前にオンラインで評判をチェックするでしょう。

これは決して神経質な顧客に限った極端な例ではなく、ごく当たり前の購買行動です。

以前はパソコンやインターネットに詳しいごく一部の人だけがやっていましたが、今では一般的な人までもが行うようになりました。

企業のマーケティング部門ならいざ知らず、このような複雑な購買行動をしている顧客本人は自分の購買行動を可能としているリテール企業の仕組みを意識することはまずありません。

あまりにも自然で当たり前の事だからです。

つまり購入者の当たり前に対応できていない企業は不便とみなされてしまい、必然的に選ばれづらくなります。

  • ネットにあるものが店舗にないので現物をチェックできない
  • お店の商品をネットで調べても情報が見つからない
  • 店舗で十分な説明が受けられない
  • 店員からその場で決断するよう営業される
  • 受け取り方を選べない

上記の状況は購入者にとってはマイナスに働きます。

このような購買行動はスマホや企業のオムニチャネル化といった外部環境が整ったことによって実現しましたが、そのモチベーションは損をしたくない、賢く買い物をしたいというごく自然な気持ちに由来していると言えるでしょう。

店舗とECが競合するのはおかしい

複数のチャネルを持つ企業において、店舗と自社ECが顧客を奪い取っていると考えている人はいませんか?

ECばかりで売れるとお店が潰れるとか、ECに力を入れて売るからお店は適当でよいというのは明らかな誤りです。

現場レベルにおいては自分の担当するチャネルに数字が欲しいと考えるのは当然ですが、顧客には関係の無い事ですし、全社的な視点からはどちらで売れても大差ありません。

顧客は自分にとって都合のよいチャネルから購入するのですから、各部門が自分たちの成績を伸ばそうと顧客に無理強いするのは意味がない事です。

店舗とECが競合関係にあるような状態は単にマルチチャネル(多チャネル)化しただけであり、オムニチャネルを達成したとは言えない状態なので早急に改善が必要です。

店舗とECをつなげるには?

店舗とECは競合するのではなく協力して顧客対応をする必要があります。

その為に行うべき事を2点紹介します。

評価と意識改革

店舗とECをつなげるには評価方法をフェアにする必要があります。

最後にゴールを決めたチャネルだけを評価するのではなく、それまでにアシストしたチャネルも同等に評価すべきです。

例えば店舗で買わずに後日自宅からネットで購入した場合、その手柄は店舗の接客が決め手だった可能性があります。

ネットを選んだのは単に楽だったとか、もう一度店舗に足を運ぶ時間に余裕がなかったというだけかもしれません。

例えば三井ショッピングパーク&mallでは店舗にタブレットを設置し、店舗にない商品を購入出来るようにしています。

本来店にないものを売ることは出来ないので数字が立たないはずですが、店頭のタブレットから売れたものも店舗の貢献とみなす事で顧客本位の接客をするインセンティブが働くのです。

このようにどこでどうやって買うか決めるのは顧客が決めます。

ECと店舗が協力して成約に持っていくという新たな意識改革を行いましょう。

その場で成約しなけば意味がないという考え方は担当者の評価を最大化するかもしれませんがには全社的にはマイナスになります。

サプライチェーンの整備

EC(オフライン)と店舗(オンライン)をつなぐにはサプライチェーンの整備が必須です。

在庫が別計算になっている、リアルタイムでどこに何がどれだけあるのか把握できない、ロジスティクスが硬直的で非効率ではシームレスな対応ができません。

店舗が先か、ECが先かによって異なりますが、マルチチャネル化した時点で追加されたチャネルを別に管理するのではなくクロスチャネル化して管理することが大事です。

そして最終的に顧客の購買履歴を共有して販促に活用するオムニチャネルを目指すのです。

企業のオムニチャネル化

出典:経済産業省 アパレル・サプライチェーン研究会 参考資料

オムニチャネル化した店舗とECの事例

最終的かつ完全な形のオムニチャネル企業はありませんが、既に数多くの企業がECと店舗のオムニチャネルを構築し協力関係を構築しています。

その中の一例として家電量販店のヨドバシカメラを紹介します。

ヨドバシカメラロゴ

ヨドバシカメラは日本中に店舗があるにも関わらず自社ECを充実させており、店舗に在庫がないものをヨドバシオンラインから購入できます。

自宅配送だけでなく店舗で受け取りが出来ますし、逆に店舗で買ったものを配送してもらったり、大量購入や購入時のアドバイスを受けるコンシェルジュサービスをネットから申し込んで、実店舗で接客してもらうサービスもあります。

またインターネットから申し込みをするだけでなく、電話申し込みや店舗に出向いた際に口頭で申し込む事も出来るので、顧客が望むすべてのチャネルで可能な限り同じサービスが受けられるようになっているのです。

今となっては珍しくないサービスかもしれませんが、これからオムニチャネルを目指そうというリテール企業のお手本になる対応だと言えます。

また家電量販店だけでなくオムニチャネルを構築しているアパレル企業として下記の記事でユニクロとユナイテッドアローズの事例を紹介いたしました。

是非ご覧ください。

アパレル業界のオムニチャネル戦略と実例について

最後に

既に盤石の地位を築いているリテール企業がECサイトを開設してオムニチャネル化する事例だけでなく、AmazonのようにECとして始まった企業が店舗を構えるケースも出てきました。

Amazonの実店舗はAmazon Goと名付けられ2019年時点では実験段階ですが、利用者のAmazonアカウントと連携して商品が自動で精算されるシステムが特徴です。

クレジットカードもスマホも不要で、お店で手に取ったものをそのまま持ち出せば自動で清算されるのです。2019年時点では商品の在庫状況をモニター出来ても品出しが人力なので無人化出来ていませんがゆくゆくは自動倉庫のように完全自動化されるかもしれません。

ECは店舗に送客するためのインターネット広告ではありませんし、店舗をなくしてECに移行すればコストダウンできるというわけでもありません。

ECと店舗は主従の関係ではなく、互いの特徴を補い合って企業のブランドを高め顧客の需要に応えるのです。

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