「ナノユニバースでのAI×人のハイブリッドWEB接客。おもてなし対応+効率化の両立のメソットとは。(前編)」

カテゴリ: コスト削減や効率化


これから2本の記事にわたって先日株式会社空色主催で行われたAIチャットボットセミナーSession3の同社武石による講演「AIとヒトによるハイブリッド接客」のその導入効果を紹介します。1本目にあたる本記事では、チャットボット普及の背景を確かめた後、コミュニケーションデザインの重要性を解説します。

チャットボット普及の背景

EC市場の拡大

チャットボットが今日のように普及するようになった背景には、ふたつのことが挙げられます。まずひとつは、EC市場の拡大です。同市場の市場規模は、2014年には約13兆円だったのですが、2018年には20兆円まで成長することが見込まれています。

EC化率も伸びており、2015年には日本市場全体で4.75%、小売業界にかぎっては10%弱だったところ、2020年には小売・サービス業においてEC化率20%を達成すると予測されています。ちなみに、ECサイトの利用手段としては、スマホの普及にともなってスマホによる利用が急速に台頭しました。

チャット体験の一般化

もうひとつの背景として、画面上でメッセージをやりとりするチャットというコミュニケーション手段が一般化したことが挙げられます。このチャット体験の一般化には、2013年頃より普及し始めたLINEが大きく貢献しています。
なぜチャット体験がユーザに受け入れられたのでしょうか。

チャット体験が好まれるようになった理由には、メールではできない即時的なコミュニケーション、つまり対話が可能であることが指摘できます。そして、対話が可能になることにより、ユーザ同士で画像や動画などイメージの共有が容易にできるようになりました。
イメージが共有しやすいというチャット体験の特徴はネットショッピングにおいて非常に役立ちます。というのも、WEB接客を通して商品の利用シーンなど具体的にイメージが膨らんだ顧客は、商品購入にいたるケースが多いからです。

コミュニケーションデザインとその構成軸

コミュニケーションデザインとは何か?

ECショッピングにおいてチャット接客を有効に活用するためには、顧客に商品購入にいたるようなポジティブなイメージを抱いてもらうよう接客します。そのため、顧客がチャットを通して抱くイメージを制御する必要性が生じます。

チャットはヒトによる接客とは異なり、接客時の表情や仕草で顧客に訴えることができません。かわりに画面に表示する文字や言葉遣いによって、顧客が抱くイメージを形成していきます。こうした顧客が特定のイメージを抱くように、チャットにおける会話の流れや言葉遣いを設計することが、コミュニケーションデザインと呼ばれます。

コミュニケーションデザインを構成する3つの軸

以上のようなコミュニケーションデザインは、3つの軸から構成されています。

• 一つめの軸は、ブランドメッセージです。クライアントが持つブランドメッセージはチャット体験において前提にされています。
• 二つめの軸は、顧客体験です。顧客が求めていることによって、チャットの流れは異なります。顧客体験はチャットの流れの大枠を決めます。
• 三つめの軸は、応対方針です。上記ふたつの軸をふまえたうえで、具体的なメッセージをどのような言葉遣いで投げかけるべきかをクライアントと決めます。

チャットを生かす「暗黙知」

コミュニケーションデザインを構成する3つの軸のうち、ブランドメッセージと顧客体験に関わる情報を集めるのは比較的容易です。
しかし、三つめの軸である接客応対に関しては、社会学で言うところの「暗黙知」に目を向ける必要があります。暗黙知の必要性は、ヒトによる接客シーンに立ち返るとわかります。ヒトの店員が接客する時は、顧客が言った言葉だけではなく、表情や仕草にも注意を向けて顧客の反応を推測します。

チャットによる接客では、当然ながら暗黙知にもとづいた情報が欠落します。しかし、コミュニケーションデザインにおいては、この暗黙知を改めて文字に起こしてチャットで交わされる会話に反映することによって、顧客のイメージ形成に強く影響を与えることができるのです。

以上のようなチャットにおけるコミュニケーションデザインが適切に行われると、ECサイトとリアル店舗の両方で一貫したショッピング体験が可能となります。そして、こうしたショッピング体験の統一が実現すると、顧客はリアル店舗とECサイトの両方で商品を購入するようになるビジネスのオムニチャネル化も達成できます。

次回の記事では、チャットボットの具体的な対話事例を参照しながら、チャットボットの導入効果を確認します。