マンガ制作にも生かされるAI

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近年のAIは、売り上げの予測や生産ラインの異常検知のような大量のデータ処理が必要ではあるが処理過程が定義しやすいタスクを中心に普及しており、いわゆるクリエイティブ分野での普及は遅いだろうと思われてきました。しかし、そうしたクリエイティブ分野においてもAIの普及が急速に進んでいます。本記事では、マンガ制作におけるAI活用事例を紹介することを通してクリエイティブ分野におけるAIの普及を確かめます。

マンガの電子書籍化を促進する「CLIP STUDIO PAINT」

株式会社セルシスは、2018年11月29日、同社が提供するイラスト・マンガ・アニメーション制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」にAI技術を活用したトーン(網点)を消去・分離できる機能を実装したことを発表しました。

 
マンガを電子書籍にする際には、モノクロマンガの版面からトーンを消去した後に着色するという作業を行っていました。従来、トーンを消去するのは非常に手間のかかる作業でしたが、新機能の実装によりメニューから選択するだけで自動でトーンを消去することができ、着色を効率的に実行できるようになりました。

 また、こうしたトーン消去機能のほかに、JPEGノイズ除去機能と自動着色機能も追加実装しました。JPEGノイズ除去機能をトーン消去機能と組み合わせて活用することで、より鮮やかな着色が可能となります。

 
以上のような革新的な新機能を追加実装した同ソフトは、2018年12月5日から6日まで東京・有楽町の国際フォーラムで開催されるシーグラフアジア2018の会場に出品されます。

広がるマンガ制作におけるAI活用

近年、マンガ制作におけるAIの活用事例が増えています。例えば株式会社Preferred Networksは、線画で描かれたマンガにAIが自動的に着色するサービス「PaintsChainer」を提供しています。同サービスは、線画を同サービスを提供しているウェブサイトにアップロードして、着色する色を指定すると自動的に指定領域を塗りつぶしてくれる、というもの。塗りつぶし方も指定でき、「たんぽぽ」「さつき」「かんな」から選ぶことができます。

 
また、共同印刷はマンガを電子書籍化する際にスクリーントーン部分に発生する「モアレ」(予期せぬ縞やまだら模様が見える現象)を取り除くAIを開発しました。このAIはモアレが起こる場所をあらかじめ学習しており、モアレを検出したらその部分だけモアレ軽減処理を施します。

 
さらに、大日本印刷も「PaintsChainer」と似たような自動着色AIを2018年度中の商用化を目指して開発しています。同社の自動着色AIを活用すれば、ヒトであれば1日を要する着色を半分で時間で実行できるようになります。同AIを開発した背景には、モノクロが主流の日本マンガをカラーが主流である海外に輸出する際に着色する需要があるからです。

 

以上のように、AIはクリエイティブな分野においても活用が進んでいるのです。こうしたAIのクリエイティブ分野への進出は、マンガに限らず作曲や画像編集といった他の分野でも進むことでしょう。