今さらだけど知っておきたい「チャットボット」とは?

カテゴリ: 成功の秘訣やポイント


チャットボットは誕生からほんの数年で大きな市場に成長したのですが、最近になって「次のステージ」に移行しつつある兆候が見られます。そこで本記事では、チャットボットの歴史を振り返り、今後のチャットボット事業の在り方を検討します。

検索からSNSに、そしてメッセージアプリへ

チャットボットの誕生を振り返るには、デジタルマーケティングの歴史を整理する必要があります。

2000年代、一般ユーザを対象としたマーケティングは、インターネットの利用において不可欠な検索エンジンが主戦場となりました。その後、2010年代に入ると、マーケティングの主戦場はSNSへと移行しました。今日よく使われるInstagramやTwitterのようなサービスは、この頃、急激に成長しました。しかし、2010年代後半になると、メッセージアプリが台頭してきます。
 
アメリカの調査会社BI INTELLIGENCEの発表によれば、世界4大メッセージアプリ(WhatsApp, Messenger, WeChat, Viber)は急激にユーザを獲得し、2015年に4代SNS(Facebook, Instagram, Twitter, Linkedin)のユーザ数を上回りました。

同じく2010年代後半、AIサービスが急速に普及しました。新しく現れたAIは、自然言語処理をかつてないレベルで実行できました。こうしたサービスのひとつには、AIチャットボットがありました。
 
ユーザがヒトと話すようにAIとやりとりできるチャットボットは、メッセージアプリとの相性が抜群に良いものでした。そのため、企業はマーケティングツールとしてチャットボットを活用するようになりました。例えば、ディズニーは映画『ズートピア』のプロモーションに、Facebook  Messengerを使ったチャットボットをリリースしました。

以上のようなチャットボットは、カスタマーサポートやオンラインショッピングにも活用され、急速に利用が拡大しました。

爆発的流行から淘汰の時代に

しかしながら、2018年に入ってチャットボット事業から撤退する企業が見られるようになりました。

デジタルマーケティングに関するニュースを扱うメディア『DIGIDAY』は、8月23日、海外有名メディアであるワシントンポストやガーディアンがチャットボットを廃止したことを報じました。この両社はFacebook  Messengerを活用したチャットボットを運営していたのですが、他社が作ったプラットフォームに頼らずにユーザとの関係を構築したいと思惑が、チャットボット撤退の理由として推測されています。
 
反対に、チャットボット事業をさらに推進する海外メディアも存在します。クオーツは、広告主のためにチャットボットを開発するスタジオを立ち上げ、チャットボットを積極的に開発しています。同メディアは、これまでにHBOのドラマ『ウェストワールド』やNetflixが制作したドラマ『ストレンジャー・シングス』とタイアップしたチャットボットを開発して成功を収めています。
 
以上のようにチャットボット事業で明暗が分かれたのは、チャットボットの爆発的流行期が終わり、戦略性のなかった事業が消えていく淘汰の時代に入ったからと見ることができます。

「間違ったチャットボット」にならないために

マーケティング用チャットボットGrowthBotの開発を率いるJustin Lee氏は、2018年になって見られるチャットボット市場の陰りについて考察した論考を長文記事メディアMediumに投稿しました。
 
同氏は、今までのチャットボット開発では過度な期待を寄せられるあまり、従来のスマホアプリの方が優れているサービスを無理やりチャットボットに置き換えようとした事例が多数見られたことを指摘しています。

こうした「チャットボットの誤用」に陥らないために、同氏は成功するチャットボットの特徴をふたつ挙げています。

 

・成功するチャットボットは、アイコンの配置等の視覚的設計が優れている。

・成功するチャットボットは、多機能ではなくひとつの機能が快適に使えるように設計されている。

 

以上のように分析したうえで、長期的にはチャットボットの会話能力が向上することが見込まれるので、チャットボットが社会に定着して良い影響を与えるだろう、と同氏は考えています。

 

チャットボット市場は今後も成長することが見込まれますが、だからといって「なんでもチャットボットにすれば成功する」わけではありません。初期の急速な成長期を過ぎた今こそ、チャットボット事業を見直して「チャットボットでなければならない」サービスを構築することが求められるでしょう。