IBM Watsonを活用したチャットボット「BellCloud AI for SNS」を使って離職を予防する

カテゴリ: 成功の秘訣やポイント


チャットボットと言えば、カスタマーサポートのようなBtoCビジネスにおいて多用されているという印象があります。しかし、導入目的を明確にし、その目的に即した開発を実行すれば、就業者の疑問や不安を解消できるような柔軟な応対ができるチャットボットを導入することができるのです。本記事では、こうした優れた社内向けチャットボットの事例を紹介します。

Watonが自ら判断して有人オペレーターと連携

コールセンター運営を基幹業務としている株式会社ベルシステム24が提供するチャットボット「BellCloud AI for SNS」は、会話AIにIBMが開発しているAI「Watson」を実装しており、このAIの特徴を生かしたチャットボットとなっています。
 
同チャットボットは、Watsonの持つ優れた自然言語処理と機械学習を活用することで、従来のチャットボットが陥りがちな一問一答型かつ紋切り型の受け答えに終始することなく、会話の文脈を理解して柔軟に応対することが可能となっています。

また、従来のチャットボットではAIによる対応が難しい言わば「例外処理」のひとつとして、有人オペレーターにつなげるという処理が実行されています。対して、同チャットボットはWatsonが実行する自然言語処理の確信度が低い時や特定のキーワードを検出した時等に、Watson自らが有人オペレーターに切り替えるか判断し、切り替えを実行します。こうした機能により、Watsonの学習が進むにつれて、有人オペレーターに切り替える機会が減ることが期待できるのです。
 
以上のようにして切り替えが起こった時には、特にユーザにそのことを知らせることはしません。そのため、ユーザはWatsonから有人オペレーターに切り替わったことに気づくことはありません。

AIが就業者の相談にのって離職を予防する

以上のようなBellCloud AI for SNSを、ベルシステム24は自社で運営するコールセンターの就業者をサポートする目的で社内システムとして導入しました。
 
コールセンター業務は一般に離職率が高いと言われ、ベルシステム24も例外ではありませんでした。そこで同チャットボットを導入することで、就業者が気軽にAIに相談できる体制を築くことを図ったのです。そして、就業者の相談内容から離職の兆候を察知し、面談等の適切なフォローを行うことを目指しました。

同チャットボットは、シフト確認や社内手続きに関するFAQといった定型的に処理できる応対だけではなく、就業者の不安を察知するために雑談にも対応するようにしました。
 
雑談のなかには、就業者が突然「辞めたい」と入力するケースもありました。こうした場合でも、すぐに上司に相談するように促すのではなく、何があったのか聞いて適切なメッセージを返す、という処理を実行していました。こうした処理を継続して実行することによって、何が離職の原因となるか分析できるようになるのです。

AIチャットボットは闇雲に導入すると失敗する

以上の就業者サポートシステムの導入責任者である鮫島 将氏によれば、同システム導入ねらいは、就業者の疑問や不安を解消することはもちろんのこと、AIがある程度就業者のフォローを担うことによって、管理者がヒトにしかできない仕事に専念できる体制を作ることにもありました。
 
また、導入に際しては社内FAQのような処理内容が確立されたものに関しては比較的簡単にAIに実装できた反面、管理者とスタッフの会話に関しては文書として記録されていなかったので、すぐにAIに実装というわけにはいきませんでした。そこで、応対シナリオ検討ワーキンググループを結成して、改めて管理者とスタッフの会話の構造を見つめ直し、AIに実装できるシナリオを作成しました。こうした努力によって、雑談にも柔軟に対応できるAIが完成したのでした。

鮫島氏とともに同システムの導入を担当した村田 健太郎氏は、以上のシステムに使われたBellCloud AI for SNSは決して万能ではなく、「AIならば何でもできるだろう」と思い込みから導入すると失敗する可能性が高い、ということを指摘しています。そして、導入目的を明確にすることがチャットボット導入を成功させるポイントであると述べています。

 

以上の事例のように、チャットボット導入の目的を明確にし、その目的に沿ってAIが処理するシナリオを設計していけば、柔軟に対応する社内システムが構築できるのです。