リアルとデジタルの組み合わせで見えた、新たなリソース提供事業の可能性

※掲載内容は2019年7月時点の情報です。

2018年1月31日に財務省が発表した『財務局調査による「人手不足の現状及び対応策」について』では、71.0%の企業が「人手不足感がある」と回答しています。
特に営業・現業職員の不足を感じている企業が多く、その人手不足の要因を「採用が進まない」としている企業は59.0%に上ります。
(注1:『財務局調査による「人手不足の現状及び対応策」について』)

そんな人手不足に悩む企業に対し、人材サービスやコンタクトセンター、インバウンド対応などで営業支援に取り組んできたのが株式会社ヒト・コミュニケーションズです。

人件費をコストとして認知されることもあるなか、ヒト・コミュニケーションズではデジタル領域でのコスト効率化を目指し、Web接客ソリューションを開発・提供する株式会社空色との事業提携を締結しました。

空色との事業提携に至った理由や事業提携によって実現できること、今後の展望などについて、株式会社ヒト・コミュニケーションズの高橋様と荒井様にお話を伺いました。

事業提携の理由は親和性

数あるチャットサービス提供企業のなかから、事業提携のパートナーを空色に決めた理由を教えてください。

当初、チャットを導入しようというという話からスタートしたわけではなく、いろんなジャンルの会社と話をしていくなかで、空色とマッチしました。

チャットサービス提供企業のなかには、人を介さず、「AIだけでチャット対応できる」ことを売りにしている企業もあります。
しかし、私たちが求めていたのは「一次対応としての問合せ対応を効率よく行う」ことではなく、「クライアント企業が導入によって売上を上げること」でした。

チャットボットだけでなく、有人のチャットセンター運用も行い、さらにそのスタッフの専門性の高さもある空色とは、クライアントの成果を追求するという点で親和性が高かったことが一番の理由です。

実際にコンタクトセンターの運用が始まり、ヒト・コミュニケーションズでもチャットの対応をやっていくなかで、リアルの接客とチャット上の接客の両方において「お客様にピッタリの提案をしていく」という軸はぶれないんだなと感じています。

私たちがリアルでやってきたノウハウと、空色がデジタルでやってきたノウハウを絡めながら、お客様のために新たなご提案ができるような仕組みを作っていきたいと考えています。

リアルリソースとデジタルリソースを組み合わせた接客

−ヒト・コミュニケーションズと空色の事業提携で、どういったものを実現したいというような、ビジョンはありますか?

ヒト・コミュニケーションズが持つ販売のリアルと、空色のデジタルの融合が一番の強みになると思っています。

今は空色からの案件で服飾系が多いですが、ヒト・コミュニケーションズのネットワークを使えば今までにない分野にもWEB接客ソリューション「OK SKY」が使えるのではないかと思い、化粧品の店舗等で提案を進めています。

−具体的に描いている利用シーンを教えてください。
化粧品を買う時に一番心配なことって、効果や使用感だと思うんです。あとは、一瓶で何ヶ月もつんだろうとかですね。
店員に直接聞くよりWeb接客の方がハードルが低いので、そういったお客様の悩みに答えつつ、満足したお買い物をサポートできると考えてます。
継続的に買ってもらうために、使っていく中での相談ができる窓口にしたりというのもやっていきたいですね。
デジタルへの対応は本来の私たちの分野からすると、真逆の立ち位置と考えることもできます。極端な話、接客の人材を提供してきた私たちが、ロボットで接客できるようになりますよと言っているようなものです。

−AIは人の仕事を奪ってしまうのか、というような話になってきますね。
奪うまではいかなくても、やはり省人化の流れは進んでいくと考えています。
その流れと逆行していても、私たちだけが取り残されてしまいますし、お客さんにとってもよくないなと考えています。

少し前までは店舗のショーウィンドウ化みたいなかたちで、店舗に見に来てWebで買うという流れは毛嫌いされていましたが、今は逆にショーウィンドウとしての店舗も増えてきています。店舗(リアル)とWeb(デジタル)の両方でお客様全体をサポートしていければいいですよね。

特にBtoCの分野において、どれだけお客様に良い訴求ができるかというところを突き詰めていくなかで、デジタルの要素はどんどん取り入れていきたいです。

−空色との事業提携で現場の販売力とデジタルの販売力が合わさることで、即戦力ができあがるんですね。

「即戦力」というのは、空色のスタッフが非常に専門性を持っているからこそ実現できると思っています。

−今後どういったシチュエーションでご活用いただけそうですか?
Web上だけでなく、店頭でWeb接客を使ってもらうというのは一つの軸だと思います。
どうしても日本の小売事業では店頭からWebに流れることは毛嫌いされます。部門が違うので当然ですよね。ただ、徐々に部門単位ではなく全体が上がればいいという認識に変わってきていると感じています。
なので、おそらく店での接客の事例が一つ出れば、すごい早さで広まるんじゃないかなと思っています。最初にそういったものを作っていきたいと思っています。

また、人材不足と空色がうまくマッチするような提案も進めていきたいですね。
店舗に人を置いてほしいと言われても、都心から離れた場所だとなかなか難しい。今いる人数のままで土日やバーゲンの期間で増える問合せを捌く方法として、チャットセンターが使えると考えています。

店舗に見に行くけど、重くて持って帰りたくないから、後日ネットで買うという人は私だけじゃないはずです。
生地感や素材感は店舗で見て、ネットで安いところを探して買う人が多いので、店舗の人数は今のままネットでの対応人数を増やすという活用の仕方もありだと思っています。

−企業全体で見て、売上になれば導入のメリットにはなりますよね。
そうですね。それから、「OK SKY」は単なる問合せ窓口ではないじゃないですか。単なる問合せ窓口として導入すると、導入のイニシャル費用と月額のランニング費用、人件費でコストがかかるだけになります。
でも、「OK SKY」を使ってリアルとデジタルを組み合わせる手法であれば、コストをかけるだけじゃなくて売上も貢献できるところがすごく大きいなと思います。

Web接客の活用はピュアでやりがいのある接客ができる

−チャットセンターの様子はいかがでしょうか?

お客様のニーズに本当にフィットするものをおすすめしている感じがあります。
そして、それを買っていただけると自分たちの成果になるという、本当に気持ちのいい、やりがいのある仕事になっているなと思いますね。

10万円しかないって言ったら「9万8千円」の商品を探してあげて、お互いに満足して終わることができる。
しかも、その提案が気に入っていただけたらもう一度買ってくれると思うんですよね。

−本当の意味での、顧客化とか関係構築につながっていきますね。
お客様からすると、Web接客なら聞きたいときに答えてくれて、しかも買いたい商品を教えてくれます。
チャットセンターの接客者から見ても、お客様の質問に答えて、商品をおすすめして、お礼までもらえる。電話だとなかなかお礼まではいかないと思うので、そこにやりがいを感じているスタッフは多いです。

お客様側や私たちにとっても素敵ですが、スタッフにとってもすごくメリットがあるなというのを実感しています。
初心を思い出すような、すごくピュアな接客ができている感じです。

デジタルの活用でできる働き方改革

今まで実際の接客では、「なんで売れているのか」という分析がしづらかったんです。
実際の音声データをずっと拾っているわけにもいきませんから。
そうなると、「その人だから売れているんだ」になってしまう。
チャットならログがしっかりと残るので、なんで売れたのかを分析してクライアント企業に伝えることができます。
そういうところがデジタルを入れることの強みです。
−他にWEB接客での良い点はありますか?
働き方改革の部分で、可能性があると思っています。
例えば優秀な販売員の方が結婚や家庭の事情でどうしても辞めざるを得ないという場合、今までは解決方法がありませんでした。
空色との事業提携を始めてから、その知識を活用してチャット対応のスタッフとして時間を短縮するなどで、その人を残すことができるようになりました。

接客という業種のなかで、「働きたくても働けない層」の人たちの救いになっていきたいですね。

Web接客はお客様にとって非常にいいサービスなだけでなく、働く側にとっても非常に良い仕組みになっていくかなと思っています。

空色との事業提携で描く未来

−世の中に眠っている「働きたくても働けない人材」を活用するというのは、空色としても進めていきたいと考えています。
「働きたくても働けない人材」の活用となると、在宅勤務・リモートワークという働き方もあると思いますが、そのあたりはどのようにお考えですか?

確かに、将来的には在宅勤務やリモートワークも視野には入れています。しかし、今すぐ始めるつもりはありません。
Web接客であれば在宅でもできるよねという考えはありますが、在宅やリモートの場合、仕事のクオリティの担保など様々な課題があります。
なので、まずは時間的に制限がある人たちに対して新しい働き方を提供していきたいと考えています。

注1:平成30年1月31日 財務省
『財務局調査による「人手不足の現状及び対応策」について』
https://www.mof.go.jp/about_mof/zaimu/kannai/201704/hitodebusoku088.pdf