「チャットボット導入のメリットと課題、そして進化するチャットボットの今後の方向性」
目次
現在AIサービスのひとつとしてチャットボットが注目されています。本記事ではチャットボット導入のメリットを「顧客対応時間」「人件費」「接客品質」の3つの観点で紹介します。また、チャットボット導入にとても重要なポイントとなる「コミュニケーションデザイン」に触れたうえで、チャットボット導入までのステップを説明します。最後にチャットボットの限界を説明した後、進化するチャットボットの今後の方向性を見ていきます。
■チャットボット導入のメリット
現在オペレーターが行っているカスタマーサポート(もしくはWEB接客)を代替するチャットボットを導入した場合、以下のような3つのメリットが期待できます。
1.チャットボットが24時間365日WEB接客するので、顧客対応時間が拡大する
メールを使ってカスタマーサポート対応する場合、返信までに半日から1日程度かかってしまいます。チャットボットを導入した場合、24時間365日自動回答できるようになります。ECサイトのピークタイムが夜間であることを考えると、夜間にも対応可能なチャットボットの導入は顧客満足度の向上に大きく貢献します。
2.チャットボットがよくある問い合わせに対応するので、人件費が削減される
ホームページによくあるお問い合わせに対する答えを掲載していても、実際には同様のお問い合わせがあります。そうしたよくあるお問い合わせをチャットボットで自動対応することによって、人件費の削減が期待できます。
3.チャットボットを導入することで、人に依存しバラついていた接客品質が向上する
オペレーターが接客した場合、接客品質がオペレーターの経験に左右されてしまうのは避けられません。チャットボットを導入すると、こうした接客品質のバラつきを統一することができます。具体的なイメージが湧くように説明すると、経験豊富で売上も組織の中で安定してあげられるベテラン接客員の接客対応を一つのテンプレートとして設計しチャットボットを構築することでどんなカスタマがいつたずねてきても、同じ接客品質で対応ができるということです。
■チャットボットの顧客獲得を左右するコミュニケーションデザイン
以上のようなメリットがあるため、チャットボットの導入は加速度的に進んでいます。その一方で、チャットボットは適切に設計されないとヒトによる接客に劣ってしまうことがあります。
経験豊富な接客員は、顧客の年齢層や購買履歴を参考にしながら、顧客ごとに最適な口調と態度で接客を行います。こうした顧客ごとに最適化された接客ができないと、顧客を購買に導けません。例えば、20代女性に対して非常に丁寧な敬語で話しても必ずしも購買につながりませんし、逆に60代の顧客に20代には好感がもたれる態度で接すると購買率が下がることが知られています。
弊社では以上のような顧客に応じた接客の最適化を「コミュニケーションデザイン」と呼び、チャットボットを導入する際にコミュニケーションデザインの設計を重要視しています。というのも、コミュニケーションデザインの成否がチャットボットによる顧客獲得に大きく影響するからです。
■カスタマーサポート(WEB接客)におけるチャットボット構築ステップ
弊社のチャットボットを導入いただく場合、導入企業に応じたコミュニケーションデザインの設計を行います。具体的には、導入企業が保有しているメールや電話の応対履歴をもとにして、弊社チャットボットをカスタマイズします。弊社チャットボットは基本的な会話はすでに学習済みなので、サービスのローンチまでに要する期間は1~2か月程度です。
チャットボット導入に際しては、目標設定をヒアリングしております。このヒアリング時に「ログインできない」のような定型的に回答できる質問は何かを洗い出します。ちなみに、弊社チャットボットは質問の60%程度はチャットボットが学習可能であり、さらにそのうちの60%がチャットボットのみで完結した回答ができるという実績があります。
■現状におけるチャットボットの課題
コミュニケーションデザインの設計を行ったチャットボットであっても、現状では以下のような課題、限界が存在します。
1.チャットボットではパーソナライズされた質問に対する答えに限界がある
「私はこのアイテムを身につけるとどう周りから見られますか?」というような顧客の人格に深く根ざした質問には、現在のチャットボットは回答できません。こうした質問は、経験豊富な接客員だけが対応できるのが現状です。
2.チャットボットではデータにない質問に対する答えに限界がある
商品Aと商品Bの比較がサイトに記載されていない状況で、「AとBどちらが私似合いますか?」と質問されても、チャットボットが適切な回答を返すことは困難です。こうしたデータにない質問にチャットボットが対応するためには、回答時に参照する情報とシステム連携することで解決することが期待できます。そうした参照すべき情報には商品情報、在庫情報、顧客情報といったものがあります。
実際、カスタマーサポートへのお問い合わせのうちカスタマーサポートが当然答えるべき質問は全体の5~6割程度で、残りは商品に関するお問い合わせであることがわかっています。チャットボットが商品情報を参照できるようにすることで、カスタマーサポートへのお問い合わせから購買につなげることが可能となるのです。
また、チャットボットを使用する顧客の約3割は、リアル店舗で購入することがわかっています。さらに、リアル店舗にいる時にチャットボットを使用する顧客もいます。チャットボットが顧客情報や在庫情報と連携していれば、在庫のあるリアル店舗をチャットボットから紹介したり、逆にリアル店舗でのチャットボット使用を促すといったオムニチャネル的施策もできます。
■チャットボットの導入事例 ペルソナをもったnano-botの実績
2017年9月にナノ・ユニバースという名前の新入社員のキャラクター設定があるチャットボット<nano-bot>をローンチしました。nano-botの接客はまだ完璧には程遠く、誤った対応が発生してしまうことがあるのですが、親しんで頂いています。
こうしたnano-botはキャラクター設定のないチャットボットと比較してチャットの発生数が3倍となりました。そのうちの15%は有人のオペレーターに引き継いで購買につながり、売上が向上しました。
nano-botにおいても、コミュニケーションデザインが重要となります。例えば「ログイン方法がわからない」という質問に対して「ID発行」のみの対応では購買まではつながりません。質問の背景を理解したコミュニケーションデザインを行い、適切に有人オペレーターに引き継ぐようにすることで、はじめて販売促進を実現できるのです。ちなみに、nano-botにおけるチャットの60~70%は自動回答で完結しております。
チャットボット導入による具体的成果
・チャットの発生数が3倍
・3倍に拡大したチャット発生数の15%が有人オペレーターに引き継ぎ売上向上
・チャット対応の60~70%は自動回答で完結
以上のようにチャットボットはまだ経験豊富なオペレーターには及ばない部分もありますが、導入することにより大きなメリットが見込まれます。実際、ライフタイムバリューが1.7倍向上したという事例も報告されています。そして、何よりチャットボットは、今後さらに進化することが大いに期待できます。チャットボットは親しみやすいサービスでもあるので、AIサービスをはじめて導入する企業にこそお勧めしたいものなのです。
■チャットボット導入を失敗しない、成功させる秘訣
注目されているチャットボットですが、導入したもののうまく機能していないという例も残念ながら散見されます。チャットボットを導入する際は、カスタマサポート(WEB接客)や売上拡大を実現する接客の知見やノウハウを持ったチャットボット企業と一緒に進めていくことが一番の近道であり、失敗が少ない選択です。さらには、接客の知見やノウハウは業種によっても異なるので、あなたの企業・業種に合った知見を持っている、事例のあるチャットボット企業を見つけることが鍵になってきます。
困っている迷っている方はぜひ一度OK SKYを調べてみることをおすすめします。