コールセンター業務の問題解決【チャットセンター、チャットボット導入】
目次
現在、あらゆるビジネスで顧客とのコミュニケーション、接客体験の重要性が増しており、その中で顧客接点となるコールセンターの役割が見直されつつあります。
例えば、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を目前に控え、インバウンド(訪日外国人)需要の増加に伴い、多言語対応できるコールセンターのニーズも高まっていますが、オペレーターの人手不足や接客品質の面で課題を抱えている企業が多いのが実態です。
本稿ではコールセンターが今抱えている課題と、そのソリューションとしてチャットセンターやチャットボットを導入するメリットについて紹介します。
コールセンターとは?
コールセンター(call center)とは、顧客との電話対応を行う部署や電話対応を請け負う外注企業の事です。
電話を受ける側(インバウンド)ではなく、電話営業をする部署(アウトバウンド)や電話営業を請け負う企業をコールセンターと呼ぶ事もありますが、これらは本稿の趣旨に反するので除外します。
顧客対応にはクレーム対応に代表される問い合わせ対応と、顧客の購買を促進しユーザーサクセス達成のサポートを行う2種類がありますが、どちらもオペレーターの接客品質が重要です。
コールセンターの課題
既に多くの企業で当たり前のように導入されているコールセンターですが、多くの課題を抱えています。
よくある課題としてあげられるのが、下記の内容です。
・定着率が低く常に人手不足
・オペレーターのスキルアップが難しい、インバウンド対応でスキルの多様化も
・顧客の問い合わせに対して待ち時間を作ってしまう
・24時間対応が難しい
これらの課題は全てがリンクしているため一つずつ解消するのが難しい状態です。
定着率が低く常に人手不足
コールセンターでは、全体的に電話によるクレーム対処でストレスを受けやすく、オペレーターの離職率が高いのが実態です。その結果、常に人手不足になっていることが多く、常態的に求人が募集されています。
オペレーターのスキルアップが難しい、インバウンド対応でスキルの多様化も
電話での応対スキルを習得するのは一般的に数週間の研修が必要とされ、一人前に着台できるようになるために一定の期間が必要です。
人手不足が多忙をよび、インバウンド需要に対して多言語対応しようにも研修の時間を作る事も難しい状態です。
加えて離職率の高さから勤務歴が短いオペレーターが多くなるので、接客品質が安定しづらくなります。
顧客の問い合わせに対して待ち時間を作ってしまう
コールセンターでは、1人の問い合わせに最低でも1人のオペレーターが拘束されます。
サポートは数分で終わる事もあれば、数十分かかる事もあるのでコールセンターは常に込み合っており、すぐにつながらないことが顧客の不満につながるケースも少なくありません。
これはオペレーターのスキル不足や人手不足とも関係しており、一筋縄では解消できない問題です。
24時間対応が難しい
有人接客で24時間対応をするには3交代制を敷く必要があります。
しかし、人手不足や人件費の問題から深夜帯まで対応するコールセンター環境を構築するのはとても難しい状態です。
これらの課題解決のためにチャットセンターやチャットボットといったデジタルを活用する流れが出てきており、以下にそれらのメリットをご紹介いたします。
チャットセンターとは?
チャットセンター(chat center)とは電話ではなくチャットで顧客対応をする部署、あるいはその外注企業を指します。
ただし既にコールセンター業務の一環としてチャットの活用を行っている企業もあるので、特に分けないケースもあります。
チャットセンターのメリット
多くの課題を抱えているコールセンターに比べてチャットセンターには数多くの利点があります。
同時に複数対応が可能
チャットなら一人のオペレーターが同時に複数の問い合わせに対応できます。
電話の場合は必ず一件の問い合わせに対し一人の担当者が拘束されてしまいますが、チャットなら時間差で回答できるので一度に複数の接客が可能です。
チャットセンターはコールセンターよりも少人数のオペレーターで運営できるので、コスト削減が期待できるでしょう。
オペレーターのストレスが軽減できる
コールセンター業務の離職率が高い理由は、クレーム対応のストレスにあるといっても過言ではありません。
しかし、チャットによる対応なら直接厳しい言葉を投げられることが少ないため離職率が下がります。
また、オペレーター同士が隣で相談しながら対応することができるため、一人で抱え込んでストレスを溜め込むことが少なくなります。
外国語にも対応できる
チャット対応の大きなメリットとして、多言語対応しやすい点があります。
チャットボットであれば、自動で多言語対応を準備しておくことができますし、有人のチャット対応の場合でも、問い合わせ内容がすぐに理解できなければ翻訳する猶予もあるので、電話対応に比べて求められる語学力が低くなります。
電話で多言語対応できるオペレータの数は多くありませんし、人件費も高額です。
ホテルやレストランのインバウンド需要への対応としてチャットサポートは有効です。
コールセンターとチャットの組み合わせ
現時点においても顧客対応チャネルが限定されている企業がある反面、顧客満足度向上のために複数のチャネルを設けている企業が増えています。
特にオムニチャネルの一部としてコールセンターを運用している場合、クレーム対応だけでなく購入検討などの積極的な問い合わせも増えるからです。
購買接客やブランドイメージ向上の接点となる電話窓口の重要性は高いですが、つながりづらさやアクションを起こすまでのハードルの高さがネックです。
しかし、チャットなら気軽に問い合わせができて、返事を待たされることもありません。
顧客からの第一報を問い合わせしやすいチャットで受けてから、チャットで対応しきれない緊急性の高い内容だと判明した時点で電話対応に切り替えれば、効率的な接客が出来るようになります。
チャットボットとは?
チャットボットとはおしゃべりを意味するchatとロボットのbotが組み合わされた造語で、質問に対して自動回答するプログラムの事です。
既にECサイトの問い合わせなど、数多くのシーンで活用されており大きな成果を出しています。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
チャットボットの導入によるメリット
チャットボットには下記のメリットがあります。
問い合わせに24時間365日対応できる
チャットボットはプログラムなので休みなく即座にレスポンスを返せます。
しかも顧客からの問い合わせの半数以上は定型化できる質問なので、チャットボットだけで十分に解決できるものが多いのです。
チャットボットでは対応しきれない問い合わせだけ有人接客に切り替えることで、オペレーターのマンパワーを集約できます。
省力化できる
有人対応が必要ない定形の問い合わせをチャットボットが処理してくれるので、オペレーターの負担が軽減されます。
省力化による人件費の圧縮で、大幅なコストダウンも見込めるでしょう。
接客品質が安定する
コールセンターではオペレータの育成に多くの研修やトレーニングが必要である反面、チャットボットは機械学習やシナリオのアップデートで一定の接客品質を保ちます。
また、会話ログを収集、分析することが電話に比べて簡易であるため、オペレーターごとの接客品質のばらつきを改善しやすいという特性があります。
多言語対応しやすい
有人チャットと同様、チャットボットも多言語対応に活用できます。
設定次第で複数の言語に対応できるのは大きな利点です。
ニッチな言語にも対応できるので、観光地のウェブサイトやホテルの予約などインバウンド需要が見込めるシチュエーションで効果的です。
チャットボット&チャットセンターのハイブリッド効果
コールセンターが抱える様々な問題を、チャットを利用することでカバーすることができます。
チャットセンターに加えて、チャットボットを組み合わせることで、チャットセンター業務を効率化できるので、組み合わせ運用によるハイブリッド効果が見込めます。
定型化された簡単な問い合わせにはチャットボットを活用することで24時間365日、インバウンドにも対応できる環境を用意することができます。また、有人のチャットセンターを組み合わせるため、潜在ニーズを引き出し購買につながるきめ細かい接客を行うことで、ロイヤリティ向上にもつながります。
既存のコールセンターが抱える課題解決と、一層のサービス向上のため、チャットセンターのたちあげを検討してみてはいかがでしょうか。
オンライン上の接客品質向上は、顧客の購買活動を支援します。
守りの接客だけでなく、攻めの接客でビジネスを加速させましょう。