RaaSの読み方と小売業界への影響。リテールの未来はb8ta(ベータ)来日でどう変わるのか?
RaaSって何?
最近、非常によく聞かれるようになった、○aaSというワード。
SaaS、PaaS、Maas・・・・・・
「一体いくつあるんだ!」
と思って、ググってみると、想像以上にたくさんあって驚きました。
(詳細はよければコチラをご覧ください。※「○aaS(〇〇 as a Service)を全パターン調べたら、共通の論調を感じた。」)
そんな中でも、今回テーマにとりあげさせていただくのが、
R
そう、
RaaS(Retail as a Service)
というビジネスモデルです。
気になる読み方は「ラース」です。
ちなみに、RaaSという略称には、Robotics as a Service(サービスとしてのロボット)を意味する全く別のサービスもあります。
今回は、Retail (小売)の方のお話です。
このRaaSは、SaaS、MaaSなどに続いて、
「今後間違いなく、聞かれるようになるワード」
と言われています。
今回の記事では、
- ①RaaS(ラース)がどんなビジネスモデルか。
- ②2020年、日本のRaaSの最新事情
- ③RaaS×アパレルのユニークな事例
をお伝えします!
withコロナや、アフターコロナ の時代を考える上でも、ヒントになるはずですので、ぜひご一読ください。
ちなみに、withコロナ、アフターコロナ についてはこちらの記事にも詳しく書いているので、そちらも参考にしてみてください。
>>>withコロナ時代に「デジタル接客」が小売業界にもたらす3つの価値
発展し続けるRaaSの今
RaaSは、「小売」のためのサブスクリプションモデルです。
サブスクリプションモデルとは、Amazon PrimeやNetflixなどサブスクと呼ばれる定額サービスを考えると分かりやすいですね。
小売のサブスク・・・
だけで、ピンときた方はかなり勘の鋭い方だとお見受けします。
RaaSを直訳すると、小売のサービス化ですが、
以下、分かりやすい説明を引用することにします。
もともと小売を手掛けていた事業者が、自社で蓄積した顧客データや販売ノウハウに、テクノロジー企業の持つ技術を掛け合わせてサービス化すること、あるいはサービスそのものを意味します。
デジタルトランスフォーメーションチャンネル「小売業のサービス化RaaSとは?事例や日本での取り組みも紹介。」https://www.digital-transformation-real.com/blog/what-is-retail-raas
すごい端的に言うと、「小売に関わるデータをパッケージにして、サービスにしたもの」ですね。
最も分かりやすいのが、無人コンビニで有名なAmazon Goのこれからです。
Amazonも今後、Amazon Goで蓄積したデータを他の小売店舗でも活用できるRaaS製品として、展開・販売されることが予想されています。
またAmazonに対抗するMicrosoft社は、
全米最大のスーパーマケットチェーンのKroger(クローガー)とのパートナー契約をしています。
Embed from Getty Imagesマイクロソフトは、自社のMicrosoft Azureというシステムを活用しながら、データを集積することで、クローガーとともに、RaaS製品の展開を進めています。
※もし、より詳しく知りたいという方がいれば、こちらの記事がオススメです。「テクノロジーによる米国小売業界の進化とは?-NRF Retail’s Big Showレポート ~後編~」https://seikatsusha-ddm.com/article/10044/)
このように、デジタルシフトを成功させてきた小売業者と、ベンダーが協業していく事例は今後も増えていくはずです。
また、2020年には日本のRaaSビジネスでも新しい動きがあります。
それが、b8ta(ベータ)の来日です。
2020年、b8ta(ベータ)の来日。
Embed from Getty Imagesb8ta(ベータ)はサンフランシスコ発の、RaaSを提案・提供している企業で、
2020年には、ベンチャーキャピタルと合同で、b8ta Japan (ベータ・ジャパン)が設立されました。
さらには、2020年の夏を目標に、有楽町電気ビル(東京・千代田)と新宿マルイ本館(東京・新宿)に2店舗をオープンする予定です。
先にお伝えした、RaaSの意味合いとはやや異なり、b8ta Japanは、以下のようにRaaSを定義しています。
従来の伝統的な小売業とは一線を画し、実店舗への出店をより手軽に実現するための包括的なサブスクリプションモデル。例えば、店舗運営に必要な従業員の手配、トレーニングやシフト管理、在庫管理、物流サポート、POSは全て付帯サービスとして月額の出品料金に含まれており、また店内で来店者がどのような体験をしたかを店内に設置したカメラを通じて収集し、ソフトウェアで行動分析が可能になります。
PRTIMES 「b8ta(ベータ)日本上陸。Evolution Venturesと合弁でb8ta Japanを設立。日本市場拡大に約11億円投資へ。夏にはアジア初進出となる2店舗を新宿と有楽町に出店」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/
000000001.000053185.html
b8ta Japanのサービスは、データ活用に加えて、
店舗の出店を含めてパッケージ化したサブスクモデルとしての、RaaSを実現しているということです。
これだけでも、RaaSの今後の広がりを予想させるものがあります。
b8ta Japanを分かりやすくWeWorkの小売版とたとえている人もいるようです。
小売業界必見!b8taを知って、D2Cのこれからを知ろう。
b8ta(ベータ)の最大の特徴は、「体験型の小売店」ということです。
実は、海外のb8ta店舗では、
メーカーから月額固定の出品料を徴収するのみで、
販売の収益は、100%メーカーに入るようにしています。
その理由は、b8taが
「体験を販売している」からです。
特に、最新のIoT製品は、実際に触って体験してみないと価値が伝わらない商品が多くあります。
だからこそ「商品と消費者の接点を作りたい」
というメーカー側のニーズをとてもうまく満たしてくれるサービスだと言えます。
そういった「体験」は今話題のD2Cビジネス界隈でもとても注目されているものです。
その理由大きく分けて3つ。
- ①D2Cビジネスでは、顧客との繋がりが非常に重要なため。
- ②オンラインの販売チャネルの競争が激化しているため。
- ③リアルな消費者の反応を商品・サービスに活かせるため。
上記の理由を踏まえると、
デジタルだけでは提供できなかった「体験」をこれまで以上に意識するのはとても自然な流れだと言えますし、
b8taの来日によって実行するハードルがとても低くなるはずです。
RaaS化するポップアップショップ。
RaaSが、小売のサービス化を通して提供している真の価値は、
顧客体験とお伝えしましたが、
アパレル業界のポップアップショップでも、面白い試みがありましたので、最後に少しだけご紹介します。
by REVEALという小規模かつ、移動可能なポップアップショップで、インテルがサポートをしているサービスです。
従来型のポップアップショップとの主な違いと特徴は以下です。
- ○わずか30分で設置可能。(試着室2つ)
- ○ショップ自体は、防水性で、自家発電を備えている。
- ○試着室スクリーンによって、在庫のない商品がディスプレイ可能。
- ○by REVEALのオペレーターは在庫を追跡し、顧客が商品を手に取っている様子をほぼリアルタイムで確認可能。
- ○売れ筋の商品や、消費者の感情の動きを、センサーで検出。
※出典:intelサイト「小売サービスをお客様のもとへ届ける試み」https://www.intel.co.jp/content/dam/www/
public/ijkk/jp/ja/documents/articles/
bringing-retail-to-people-jp.pdf
お店に来なくなった消費者を待つのではなく、
展示会・パーティー等のイベントや人の集まる場所に、
積極的に店舗を出して、「体験」をしてもらえるのが利点です。
RaaSを理解する上でも、デジタルと小売を掛け合わせたとても分かりやすい事例だと思いました。
最後に同じくインテルのレスポンシブ・リテールを率いるライン・パーカー氏の言葉を引用してこの記事を終わります。
「今後10年以内に、最先端の店舗は現在のものとは全く異なるものになっているでしょう」
インテル公式サイト「データの力が実店舗を支えるインテル®︎レスポンシブ・リテール・プラットフォームとは」
https://www.intel.co.jp/content/dam/www/
public/ijkk/jp/ja/documents/articles/
can-responsive-retail-help-jp.pdf